ポルノの利用時間と人生の充実度に、明確な因果関係はない。

これは、ポル禁アカデミーが男性419名を対象に実施した独自アンケート調査から判明した結果です。
実際、週に7回、1回あたり2時間以上ポルノを視聴している人の中にも「(人生が)とても充実している」と答えた人がいる一方で、週に1回、5分未満しか利用していないにもかかわらず「(人生が)まったく充実していない」と回答した人も見られました。
これは極端な例ですが、全体のデータを広く見ても、ポルノの利用時間と人生の充実度には特に比例関係は見られませんでした。
多くの研究や自己報告でポルノ視聴の悪影響が指摘される一方で、どれだけポルノを見ても人生に問題を感じていない人が一定数存在するのです(羨望のまなざし…)。
この点は、日本のポルノ依存症関連の研究論文でも次のように指摘されています(本研究のまとめ記事はこちら)。
高頻度のポルノ利用が必ずしも生活支障を引き起こすとは限らず、自らの性的欲求を制御しながら、ポルノを娯楽的に楽しむ高頻度利用者が一定の割合で存在することが示されている。
『ポルノグラフィの問題ある利用が引き起こす生活問題の検討』、日本性科学会雑誌第40巻1号、p. 22
ここで疑問が湧いてきます。
なぜポルノをたくさん見ても、問題なく、人生をうまく楽しめている人がいるのだろうか?
彼らの特徴ってなに?
その特徴が分かれば、もしかすると誰もがノーダメージでポルノを娯楽的に視聴できる未来が来るかもしれません。
非常に興味深い点ですので、本稿ではその要因を実験的に考察していきます。
さまざまなパターンが考えられる
まず前提として、ポル禁アカデミーのアンケート結果や研究論文に示されている内容であっても、回答者の実際の生活状況を完全に把握できるわけではない点には注意が必要です。
ですので、人生が充実している、あるいは生活に支障がない高頻度利用者は、次のような状況にある可能性が考えられます。
- 依存状態にあるが、本人がその影響を自覚していない
ポルノ依存による悪影響が存在していても、環境や価値観によって「充実している」と感じられているケース。 - 遺伝的・身体的な要因により悪影響が生じにくい
脳の報酬系の個体差やホルモンバランスなど、生理的理由から一般的に指摘される悪影響が現れにくいケース。 - ポルノ視聴が目的達成の手段として機能している
創作の刺激、金銭的報酬、精神的リフレッシュなど、ポルノ利用が本人にとって価値ある成果につながっているケース。 - 健康的な生活習慣によって悪影響が相殺されている
食事、睡眠、運動、交友関係、瞑想などの習慣が、過度なドーパミン刺激による負荷を打ち消しているケース。
本記事では、この中でもいちばん説明がつきそうな4番目の理由について、考察していきます。
クイックドーパミンとスロードーパミンの20対80論で考察
ポルノを利用してはいるが、それ以外の時間はしっかりと健康的な活動にコミットしているからポルノの悪影響をほとんど感じない……
私は、このように世の中にはなんでも上手にこなして、人生を謳歌できてしまう超人が一定数いるのではないかとみています。
うらやましい!かっこいい!うらやましい!
….取り乱しました。
ドーパミンが出ている状態 = 人生が充実している状態
本記事では、脳内の神経伝達物質をわかりやすく解説した書籍『最適脳』で紹介されている論を手がかりに考えてみます。
まず、神経伝達物質の一つであるドーパミンについて、同書では次のように説明しています。
(ドーパミンは)モチベーションや勢い、何かを手に入れたいという欲求を生み、満喫させ、長期記憶にも重要な役割を果たす。
『最適脳』p. 33
本書内で人間の「生きる原動力」とも説明されている人間の活動に欠かせないドーパミン。
これが適切に放出されていれば、何かを達成したいと思う前向きな気持ちや活力に溢れた状態でいられ、さらに、楽しい気分でいられ、ストレスレベルも下がるようです。
たしかに何か新しいことを初めて、わくわくうきうきしているときは、「今ならなんでもできそう!」「明日も楽しみ」「生きててよかった」などと人生に充実を覚えます。
よって、次の等式が、理論的にも実感的にも、十分に成立するといえるでしょう。
ドーパミンが出ている状態 = 人生が充実している状態・・・(1)
ドーパミンには2種類ある
さらに著者は、ドーパミンを次の2種類に分けて考察しています。
- スロードーパミン:効果が長く続く。じんわりとした持続的なやる気や喜びを生む。反動が少ない。自ら動いて積極的にエネルギーを使わないと得られない。
- クイックドーパミン:効果は短いが強力。瞬発的なやる気や喜びを生む。反動があり、精神状態が悪くなる(ドーパミンクラッシュ)。ほとんど努力はいらずに簡単に得られる。
クイックドーパミンを生む活動は、甘いお菓子やお酒、ゲームやSNSなど、時間をかけずに心地よくなれるものです。現代はクイックドーパミン活動であふれているようです…
では、スロードーパミンを生む活動とは何でしょうか。同書では次のように説明されています。
スロードーパミンを放出させてくれるのはどんなものかというと、その瞬間だけでなく将来的にも役に立つような活動や体験だ。
『最適脳』 p. 35
具体的には、読書、家族や友人との時間、映画鑑賞、運動、仕事、趣味など、将来の自分にプラスになる行動がこれに当たります。
クイックドーパミンとスロードーパミンを生む活動は多様です。人によっても放出具合は異なると思われますが、簡潔に説明すると次のようになります。
その場で快楽が得られる行為(ポルノ&射精、スイーツ、アルコール、たばこ、ゲーム、SNS)
= クイックドーパミンを放出
将来の自分にとって価値がある行為(運動、食事、家族・友人との時間、仕事、学習、趣味)
= スロードーパミンを放出
クイックとスロードーパミンの放出バランスは1:4を目指したい
そして、この2つのドーパミンのバランスが日常生活に影響を与えるとしたうえで、以下のように述べられています。
クイック・ドーパミンとスロー・ドーパミンのバランスが悪いと日常生活にも影響が出る。(中略)このバランスには個人差があるものの、20対80が適度のようだ。
『最適脳』p. 47
この論を適用すれば、上述の等式(1)の解像度が上がります。
クイックドーパミン:スロードーパミン = 20:80(1:4)
この比率が整っている状態 = 人生が充実している状態・・・(2)
それでは、この理論をポルノ利用のケースに当てはめるとどうなるでしょうか。
ポルノ利用時間の4倍を有意義な活動に充てれば、人生の充実度は維持できる
これをポルノ視聴に当てはめて考えてみると、クイックドーパミンを強く放出させる行為とは、ポルノ視聴からマスターベーション、オーガズムに至るいわゆるPMO行為です
PMOは努力ゼロで時間をかけずにすぐ快楽が得られるため、ぶわっとドーパミンが急上昇します。しかし、その反動としてすぐに脳内のドーパミン値が下がり、気分が落ち込む状態、いわゆるドーパミンクラッシュが起きてしまいます。
ここで20:80(1:4)論の式(2)を適用すると、次のような考え方が成り立ちます。
ポルノ視聴(クイックドーパミンを生む活動)に使った時間の「4倍」を、スロードーパミンを生む有益な活動に充てていれば、ドーパミンクラッシュが起こりにくくなる。
たとえば週単位でこの20:80論(1:4論)を適用すると、
- 週に1時間PMOする人 → 週に4時間、有益な活動が必要
- 週に2時間PMOする人 → 週に8時間、有益な活動が必要
- 週に4時間PMOする人 → 週に16時間、有益な活動が必要
という計算になります。
ここまでの論をまとめると、
クイックドーパミンとスロードーパミンの放出活動に使った時間の比率が 1:4 になっていれば、ドーパミンクラッシュは起こりにくい。さらに、そのバランスによってスロードーパミンの良い効果を長期間得られ、結果的に幸福感を維持しやすくなる。
というロジックです。
つまり、
ポルノを利用したら、その4倍の時間を人生に有益な活動に充てよう!
そうすれば、ポルノを視聴しつつも人生の充実度を高い状態にキープできる。
という結論になります。
大胆な仮説ではありますが、実際の経験と照らし合わせると、どこか納得できる部分もあるのではないでしょうか。
ポルノも利用する一方で、生活全体はしっかり充実している…そんな人であれば、確かに「人生は充実している」と答えるのも自然に思えます。
もし30分ポルノを見てしまったなら、その後(または前)に2時間分を仕事・勉強・運動といった有益な活動に充ててみてください。そして、自分の感情や気分の変化を観察してみてください。
この仮説が正しいのか、ぜひご自身の体で実験していただければ嬉しく思います。
参考文献
『最適脳 6つの脳内物質で人生を変える』、デヴィッド・JP・フィリップス、久山葉子[訳]
以上です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
