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ポル禁の日数の目安「4週間」と「3か月」+α

  • 2023年11月30日
  • 2025年11月11日
  • 研究
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1週間? 30日? それとも…1年?

ポルノ断ち(以下「ポル禁」)を始めるにあたり、どのくらいの期間を目安にすればいいのでしょうか。

本記事では、ポル禁の目安として2つの書籍から「4週間」と「3か月」、さらに最新の研究からは「3週間」をご紹介します。

ぜひ、ポル禁の戦略に取り入れてみてくださいね。

日数ばかりにこだわらないことを推奨

はじめに大切なことをお話しすると、ポル禁アカデミーでは日数ばかりにこだわる戦略はおすすめしていません。

ポル禁の成功日を1日ずつカウントしていく戦略は、禁欲中にカウント自体に囚われすぎて苦しくなってしまったり、失敗してしまったときは罪悪感が強く出てしまうことが多いからです。

とくに「あーリセットしちゃった、明日からまた1日目だ…」といったようなリセット体験は多くの人にとって苦痛になり、そのままポル禁をやめてしまう理由にもなります。

日数記録は、あくまでも「一つの戦略」として使おう

一方でこの戦略がうまくいっている事例も、ウェブ上や各種習慣化アプリ上の報告でよく見受けられます。

「目標となる具体的な日数」を定めてそれに向かって日々歩んでいくのはゲームみたいで楽しいからかもしれません。

ですので、カウント戦略は適性のある人が上手に取り入れればいいと思っています。

これを踏まえて、ポル禁の日数はどのくらいに設定すべきなのでしょうか?

神経科学の観点からは「4週間」、そしてポルノ依存に関する書籍『インターネットポルノ中毒』では「3か月」が一つの目安として挙げられています。

以下、詳しく説明していきます。

4週間で「禁断症状」がなくなることが多い

スタンフォード大学医学部教授のアンナ・レンブケ氏は、著書『ドーパミン中毒』で次のように説明しています。これは薬物依然症の研究からの引用です。

2週間では患者たちは多くの場合、まだ禁断症状を感じている。彼ら/彼女らは依然「ドーパミン欠乏状態」にあるのだ。他方、4週間では充分なことが多かった。

『ドーパミン中毒』p. 106

これに加えて、うつ病患者の研究では、4週間の断酒で80%の方々のうつ病が治ったという報告もあります。また、アンナ先生は自分の臨床体験を総括して次のようにおっしゃっています。

私の経験では、4週間を待たなくとも脳の報酬回路がリセットされる患者もいれば、4週間以上必要な人もいた。大抵の場合、長い期間、強力なドラッグを多量に摂っていた人はより長い時間かかると言っていい。また若い人は脳の可塑性が大きいため、年長の人よりも早く再調整ができる。

『ドーパミン中毒』p. 107

アンナ先生は「ドラッグ」を「麻薬などの薬物とその他依存症をもたらすもの・行動」と定義していて、ポルノ視聴についてもそれがドラッグであると明確に取り上げています。よって、上記の見解はポルノ断ちにも適用可能であると考えられます。

この研究では、ポルノの依存度合いや年齢等によって変わりますが、4週間で気分がよくなり始める方が多いと結論づけられます。

4週間… うん、達成できそうな現実できな数字ですよね。

なお、ポルノ断ちの際の禁断症状について詳しくはこちらにまとめています。ぜひご覧ください。

3か月を目安に成功している人が多い

次に、ポルノ中毒の研究で偉大な業績をあげられた故ゲーリー・ウィルソン氏は、著書『インターネットポルノ中毒』で次のように述べています。

多くの再起動者(ポルノ起因のEDがない人)は通常、100日または3ヶ月を目指し、それをもっと短い途中の目標に区切る。ED持ちはときにずっと長い期間が必要だ。

『インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学』p. 150

「再起動」とは端的にいえば、ポルノ視聴によって悪影響を受けた脳を元通りにすることです。再起動は、アンナ氏の言う「脳の報酬回路がリセット」と同義と考えられます。

そして、ゲーリー氏がポルノ断ちのフォーラムで見てきた方々の多くが3か月を目安にして、ポルノ断ちを成功させています。なぜ3か月なのでしょうか。

これはおそらく、多くの方にとってポルノ断ちは、3か月程度が心理的にもちょうどいいのだと思われます。「明日から365日、ポルノを見てマスターベーションしてはいけません」と言われたら誰しも気が引けてしまいます。

一方で、同書では「最終的に重要なのは日数ではなく脳のバランスだ」と言及されていて、やはり回復のスピードには個人差があることを示唆しています。

おまけの最新情報! 3週間でさまざまなメリットが得られる

最後に、2022年のオールボー大学の研究をご紹介します。

この研究では、若年男性21人を対象に「インターネットポルノとマスターベーションを3週間控える群」と「通常生活を続ける群」で比較した定量研究が行われました。

結果として、3週間ポルノを禁止した群では「精神的・身体的疲労の軽減」「覚醒度・活動性・自制心の向上」「内向性の減少」などの効果が観察されました。

サンプル数の少なさやアンケート調査の精度にはやや不安が残りますが、わずか3週間でもこのような効果が見られるようです。すばらしいですよね。

この研究について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

データに裏付けられた日数目標は、希望になり得る

本記事では、4週間と3か月(おまけで3週間も追記)がポルノ断ちの目標になり得る根拠を取り挙げました。

ポルノによる禁断症状は4週間で良くなる人が多い、また、3か月を目安にポルノ断ちを成功させている人が多いということがわかりました。

このようなデータに裏付けられた日数の目標は、ポル禁に取り組んでいる人には希望になり得ます。ゴールが見えない険しい道を毎日歩き続けるには相当な精神力が必要だからです。

一方で、ポルノ断ちは脳を回復させる作業であり、さまざまな要因によってその回復スピードには差があります。

ですのでこの「4週間」と「3か月」にとらわれ過ぎずに、一つの指標やマイルストーンとして活用してみてください。

参考資料

  1. ドーパミン中毒』アンナ・レンブケ著、恩蔵絢子[訳]
  2. インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学』ゲーリー・ウィルソン著、山形浩生[訳]
  3. A Period of Abstinence from Masturbation and Pornography Leads to Lower Fatigue and Various Other Benefits: A Quantitative Study
    (仮訳:オナ禁とポルノ断ちが、疲労感の軽減やさまざまな効果をもたらす:定量分析)

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