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ポルノ依存症の定義を考える

  • 2023年12月16日
  • 2025年4月13日
  • 研究
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2023年12月現在、インターネットポルノ依存症(以下、「ポルノ依存症」)に明確な定義はありません。

新聞や書籍でポルノの過剰視聴の危険性が取り挙げられ始めているなか、「実は自分もポルノ依存症なのではないか?」と悩む方々を思うと、近い将来に研究が進められてこの定義がはっきりすることを願うばかりです。

一方で、WHOのICDや依存症の研究、または問題のあるポルノ利用の研究により、ポルノ依存症の定義が固められてきている事実はあります。

本記事では、書籍およびインターネット調査をもとに、ポルノ依存症関連の定義について考え、ポルノ依存症の定義の例を提示したいと思います。

ICD-11による強迫的性行動症

世界保健機関(WHO)の国際疾病分類の改訂版(ICD-11)では、ポルノ依存症は精神疾患のなかの「強迫的性行動症(Compulsive Sexual Behaviour Disorder)」の項目に最も当てはまります。

イメージとしては、強迫的性行動症の分類のなかにポルノ依存症が含まれるという構造が取られています。

本項目によると、強迫的性行動症の要件には次のようなものが挙げられています。

  • Engaging in repetitive sexual behaviour has become a central focus of the individual’s life to the point of neglecting health and personal care or other interests, activities and responsibilities.(仮訳:繰り返される性行動が生活の中心になり、健康や身の回りの手入れ、他のことへの興味や活動、責任をないがしろにしてしまう。)
  • The individual has made numerous unsuccessful efforts to control or significantly reduce repetitive sexual behaviour.(仮訳:繰り返される性行動を抑えようと多大な努力を幾度も払ってきたが、すべて失敗している)
  • The individual continues to engage in repetitive sexual behaviour despite adverse consequences (e.g., marital conflict due to sexual behaviour, financial or legal consequences, negative impact on health).(仮訳:悪い影響があると知っていながらも、繰り返し性行動を行っている。たとえば、夫婦間の不仲、金銭的または法律上の問題、健康上の問題につながるような悪影響を指す)
  • The person continues to engage in repetitive sexual behaviour even when the individual derives little or no satisfaction from it.(仮訳:もはや性行動からほとんどまたは全く満足を得られないのに、性行動を繰り返してしまう)
https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http://id.who.int/icd/entity/1630268048

このような経験があれば、強迫的性行動症の可能性が高いということなのでしょう。


また、その他の臨床的特徴(Additonal Clinical Features)の項目で、ポルノの利用についても示唆されています。

Compulsive Sexual Behaviour Disorder may be expressed in a variety of behaviours, including sexual behaviour with others, masturbation, use of pornography, cybersex (internet sex), telephone sex, and other forms of repetitive sexual behaviour.(仮訳:強迫的性行動症は、次のような多様な形で現れることがある。他者との性行動、マスターベーション、ポルノの利用、インターネットを繋いだセックス、テレフォンセックス、その他反復的な性行動。)

https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http://id.who.int/icd/entity/1630268048


この分類は、最新の医学的、または科学的な知見が反映されているため、信頼性も高いといえます。実際にICDは、医療機関でも疾病の診断において参考にされています。

WHOがこのようにポルノ依存症の記載をした点は、ポル禁に取り組んでいる方々にも恩恵があり、今後この分類をもとに各国で、ポルノ依存症やポル禁に関する研究が進んでいく可能性があります。

セックス依存症の定義例から導く「ポルノ依存症の定義例」

次に、セックス依存症の定義の例から、ポルノ依存症の定義の説明を試みたいと思います。

さまざまな依存症について書かれた書籍『快感回路 なぜ気持ちいのか なぜやめられないのか』では、セックス依存症の定義を例示しています。

・自分や周囲の人の生活に支障をきたしているにもかかわらず当該行動を続ける
・当人が「普通と感じる」ために、また生活上の通常のストレスに対処するために当該行動が不可欠であると思われる
・当該行動を止めると自分で決め、人にも約束していながら、繰り返しそれを破る
・当該行動に走ってしまったことを後悔する

『快感回路 なぜ気持ちいのか なぜやめられないのか』、p. 158-159、デイヴィッド・J・リンデン著、岩坂彰[訳]

もちろんこれはセックス(二者間以上の性行動)を指すので、これをそのままポルノ視聴やポルノ視聴を伴うマスターベーションに転用するのは強引なのですが、その危険性を承知のうえで主語を入れ替えて、これをポルノ依存症の定義の例としてみます。

ポルノ依存症の定義の例

・自分や周囲の人の生活に支障をきたしているにもかかわらずポルノ視聴を続ける
・当人が「普通と感じる」ために、また生活上の通常のストレスに対処するためにポルノ視聴が不可欠であると思われる
ポルノ視聴を止めると自分で決め、人にも約束していながら、繰り返しそれを破る
ポルノ視聴に走ってしまったことを後悔する

いかがでしょうか。たとえばこのようなポルノ依存症の定義があれば、自分がポルノ依存症か悩んでいる方々にとって大変有益な情報になり得ると思われます。

PPUS:問題あるポルノ利用のスケール

他にも、2014年の論文「Psychometric development of the Problematic Pornography Use Scale」では、問題のあるポルノ利用についてのスケール(尺度)が提示されています。

おそらく、上述のポルノ依存症の定義例と重なる部分があったり、依存症の前段階の危険なポルノ利用を示唆するより具体的な内容になっていると考えられるため、こちらについては論文を購入・読了次第、記載していきます。お待ちくださいませ。

金銭的に余裕のある方はこちらからご購入できます。個人利用では、現在の為替レートで約5,000円です。

定義のない世界で、とにかくポル禁を始める意義

まだポルノ依存症の明確な定義はなされていませんが、それでも自分が継続的なポルノ視聴により何らかの悪影響を感じている(参考:「ポルノ視聴の悪影響」)と思う場合は、とにかくポル禁を始めてみていただきたいです。

ポルノ依存症の研究者である故ゲーリー・ウィルソン氏は、著書『インターネットポルノ中毒』の巻末部で次のように述べています。

自分のポルノ利用が害をもたらしているのではと疑ったら、とにかく簡単な実験をしてみてほしい。(中略)専門家たちが合意に達するまで待つ必要はない。(中略)とにかくやってみて、何が起こるかに注意してみよう。

インターネットポルノ中毒、p. 212-213、ゲーリー・ウィルソン

ポルノの危険性については研究が増えているといいますが、それでもまだ何が正しいのかわからないことばかりです。一般人に正しい知識が届くのがいつになるのか見当もつきません。

ポルノ視聴を伴うマスターベーションを過度に危険視しない意見があれば、ゲーリー氏のようにポルノ視聴自体への強い批判も見られます。

これらの問いに答えが出るのかはわかりませんが、我々、一般人にとって大切なのはしっかりと時間をかけて、自分とポルノとの付き合い方を考えていくことです。

ポル禁をある程度の期間(参考:ポル禁の日数の目安「4週間」と「3か月」)試してみて、ポル禁によるメリットを感じたならば続ければいいし、デメリットばかりを感じるようであればこれまでと同様にポルノを視聴すればいいと思います。

ただしここで注意していただきたいのが、そのポルノ視聴への渇望が長年のポルノ視聴によって作られた依存的なもの(参考:「中毒研究からみたポルノの危険性」、「ポルノをやめるべき理由-快楽と苦痛のシーソー論-」)なのか、自然発生的な性欲なのかということです。

ここをあやふやにしたままでいると、ポルノ視聴を問答無用で善とし、人生の貴重な時間をポルノ視聴に伴うマスターベーションに過度に費やすことになってしまいます。

しかしこれも、個々の人生の目的によりますので、ポルノ視聴の時間をリラックスの時間と捉えている人はそのまま続ければいいとは思っております。

以上です。

ポル禁アカデミーでは、ポル禁(ポルノ断ち)に真剣に取り組む人をサポートしています。何か気になることなどございましたら、本記事下部のお問い合わせからご連絡くださいませ。

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