「世界の論文を一緒に読もう」では、諸外国のポルノ依存症関連の研究論文を皆さんといっしょに読み解いていきます。
日本は、ポルノ依存症研究では諸外国に比べてかなり遅れを取っています。
たとえば、CiNiiで「ポルノ依存症」をキーワードに検索するとわずか1件しかヒットしません。一方、Semantic scholarで「Porn Addiction」と検索すると159,000件ヒットします(2025年4月現在)。
このような状況に置かれている日本人としては、海外の研究に目を向けて、最新の情報を取り入れて、自らのポルノ断ち(ポル禁)のアプローチに反映する。そんな真摯な姿勢がときには大切になります。
さて、今回取り扱うのはデンマークのこんな論文です。Journal of Addiction Scienceにも掲載された優れた論文です。オンラインで全文閲覧できますので、ご興味があれば参照してみてください。
A Period of Abstinence from Masturbation and Pornography Leads to Lower Fatigue and Various Other Benefits: A Quantitative Study
(仮訳:マスターベーションとポルノ断ちが、疲労感の軽減とさまざまな効果をもたらす:定量分析)
研究について
研究の概要は次の通りです。
- 研究場所と年:2022年、デンマークのオールボー大学で実施。
- 研究の目的:インターネットポルノとマスターベーションを控えることが、若年男性の心理的・身体的な疲労感や社会的行動に与える影響を調査すること。
- 研究方法:参加者を2つのグループに分け、一方はポルノと自慰を3週間控え、もう一方は通常の生活を続ける。期間終了後、自己申告によるアンケートで疲労感や自己制御感などを評価。
- 対象:21人の独身男性。
- 比較:インターネットポルノとマスターベーション断絶群と通常生活を送る対照群を比較。
サンプル数が21人と少ないこと、かつ自己申告によるアンケートという研究手法の精度は気になるところですが、興味深い結果が得られそうです。
主な発見
この研究からは次のようなことがわかりました。
- 精神的・身体的疲労の軽減:断絶群では、精神的および身体的な疲労が有意に減少。
- 覚醒度・活動性の向上:覚醒度、活動性、インスピレーション、自制心の向上が中程度の効果として観察された。
- 内向性の減少:内気さの減少が中程度の効果として確認された。
- 性的活動の断絶との関連:他者との性的活動も断った参加者では、精神的および身体的疲労のさらなる軽減が見られた。
この研究結果をポル禁にどう活用するか?
本研究からはすばらしい知見が得られます。
たった3週間ですよ? たった3週間、ポルノ・射精を断つことで(いや、正直難しいのはわかっています…)、疲れが減り、性格が変わるほどの変化が起こるんです。
一方、依存症全般に関していえば、約4週間で嫌な禁断症状が出なくなることが示されています。ここからわかるのは、3週間目はポルノ依存症者にとって混乱する時期だということです。
長続きしている禁断症状(離脱症状)と、徐々に表れるポルノ断ちの恩恵を一度に感じる時期なので、ときには自分のアプローチが間違っているのではないかと不安に思うかもしれません。
そんなときは、禁断症状がもうすぐ収まる可能性が高いことを思い出し、そのうえで上記のようなポルノ断ちの恩恵をより深く味わってみてください。
ポルノ断ちの効果を感じられて、人生が上向く感覚があれば、きっとポル禁は楽しいものになり、この不安定な時期をうまく乗り越えられます。
ポル禁は長い戦いになります。つねに、悪い面より良い面に集中していきましょう。
まとめ
以下、今回のまとめになります。
『A Period of Abstinence from Masturbation and Pornography Leads to Lower Fatigue and Various Other Benefits: A Quantitative Study』によれば、3週間のポル禁・射精禁で次のような効果が得られます。
- 精神的・身体的疲労の軽減(他者との性的な活動をしなければさらに効果アップ)
- 覚醒度・活動性の向上
- 内向性の減少
3週間目は、ポル禁の離脱症状による不快感やポルノの悪影響が残っている可能性が高い期間ですので、徐々に表れるポル禁のすばらしい効果に目を向けて、ぜひ、自分のポル禁のアプローチを信じて前に進んでいってください。
本記事を見つけていただき、また、最後までお読みいただきありがとうございました。
ポル禁アカデミーは、ポル禁に励む皆さんを全力で応援してまいります。