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【世界の論文を一緒に読もう #3】 Effects of a 7-Day Pornography Abstinence Period on Withdrawal-Related Symptoms in Regular Pornography Users: A Randomized Controlled Study

  • 2025年4月18日
  • 2025年4月18日
  • 研究
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はい、それでは「世界の論文を一緒に読もう」シリーズの3回目、やっていきます。

前回取り扱ったのは、イギリスの論文でした。こちらも興味深い研究ですので、ぜひ読んでみてくださいね。

さて、今回皆さんといっしょに読んでいくのはマレーシアの研究論文です。

Effects of a 7-Day Pornography Abstinence Period on Withdrawal-Related Symptoms in Regular Pornography Users: A Randomized Controlled Study
(仮訳:ポルノ利用を習慣としている人々の7日間のポル禁に伴う離脱症状について:ランダム化比較試験)

この論文では、ポルノ依存症者の間でもよく語られる「離脱症状(禁断症状)」に関する調査が行われました。

離脱症状といえば、あの嫌な渇望感やいらいら、頭がハックされて思うように考えられなくなる感覚を思い出します。

いったい離脱症状の存在がどのように解明されていくのか、自分の体験と照らし合わせて読むようにしてみるのもいいですね。

研究について

研究の概要は次の通りです。

  • 研究場所と年:マレーシア、2021年
  • 研究の目的:定期的にポルノを視聴する人々が、7日間のポルノ断ちを行った際に、離脱症状(禁断症状)が現れるかどうかを調査すること。
  • 研究方法:​マレーシアの大学に通う176人の学部生(64.2%が女性)で、過去4週間に週3回以上ポルノを視聴していた人々(「定期的」の定義)が対象。​

    参加者を無作為に2つのグループに分け、一方には7日間のポルノ断ちを指示し、もう一方には通常通りの生活を続けてもらった。この期間中、毎晩、渇望感、感情状態、離脱症状などを自己報告してもらった。

この論文、読み進めていくと、研究方法の設定や制限に細心の注意が払われていることがわかります。

たとえばランダム化比較試験を採用した理由(思い出しバイアスの排除等)や、実験期間を7日間に定めた理由などにも他の研究結果による裏付けがあることがわかります。

また、研究実施地のマレーシアでは性的なコンテンツへの規制が強いことを考慮した記述があったり、マレーシアの宗教的かつ文化的な側面がいくつかのバイアスを生むことも記述されています。

そんな配慮の行き届いた論文から、どのような結果が導き出されるのでしょうか。「離脱症状」は存在するのでしょうか。

主な発見

さて、この研究からは次のようなことがわかりました。

  • 全体的な結果:​ポルノ断ちを行ったグループと通常通りの生活を続けたグループの間で、渇望感、感情状態、離脱症状に有意な差は見られなかった。
  • 特定の条件下での結果:​探索的な分析により、問題のあるポルノ使用(Problematic Pornography Use: PPU)のレベルが高く、過去4週間のポルノ視聴頻度が1日1回以上の参加者において、ポルノ断ちによる渇望感の増加が見られた。

まず、研究結果を全体で見ると、離脱症状の存在が否定される結果が出たようです。これは驚きですね。7日間では、ポルノ断ちを実践していてもしていなくても、とくに禁断症状はでなかったという結果になりました。これは別の調査とは異なる結果のようです。私も個人的には離脱症状を体験してきた身ですので、懐疑的にならざるを得ない結果でした。

一方で、ある条件の下では離脱症状のひとつである渇望感が高まることがわかりました。

それは、過去4週間におけるポルノの利用が週3回かつポルノを見続けた人と、過去4週間におけるポルノの利用が毎日以上かつポルノ断ちをした人たちです。

過去4週間におけるポルノ利用の頻度渇望感が強く表れた群
週3回対照群(=ポルノを見続けた人)
毎日 or 毎日複数回禁欲群(=ポルノ断ちを実践していた人)

若干複雑な結果ですが、要するに、

  • 軽度のポルノ利用者(週3程度)にとっては、ポル禁が効果的に作用して禁断症状を抑えられるかもしれない(なぜなら、ポルノを見続けた群で渇望感がより強く表れているから)
  • 重度のポルノ利用者(毎日以上)は、ポル禁によって禁断症状が高まる可能性がある

ということです。

この研究結果をポル禁にどう活用するか?

さて、本研究を自分のポル禁に活かす方法を考えていきましょう。

まず言えるのは、「禁断症状への過度な心配を減らそう」ということです。

実際、この研究ではポルノを断ったとしても、必ずしも激しい禁断症状が出るわけではないことがわかりました。禁断症状が不安でなかなかポル禁を始められない人にとっては朗報です。

過剰に心配せず、ポル禁を始めてみましょう。

次に言えるのは、「本格的なポル禁の前に、ポルノの視聴頻度を少しずつ減らすこと」の大切さです。

普段から毎日ポルノを視聴しているグループが、突然まったく見なくなると強い渇望を覚えるという結果が出ました。一方で、週3程度で見ているグループは、突然まったく見なくなっても渇望が現れないのです。

もちろん、渇望感はリセットの原因になります。それならば、普段から徐々にポルノの視聴頻度を下げて、週3程度の利用が習慣になってきたところで、本格的な完全断ちを始めればいいのです。それならば、渇望を感じずにうまくポル禁を進められる、ということになります。

このことは、ポル禁アカデミーの過去記事「高依存者向けのポル禁戦略 – 本格的なポル禁の準備段階を設ける」でも言及してあります。ぜひご一読ください。

今後の研究に関わる発見

なお、ポル禁を実践している人に直接役に立つような話ではありませんが、ポル禁研究の発展を促すような面白い発見がありましたので、以下に記載しておきます。

対照群の重要性:ポルノ断ち群と対照群の両方で、離脱症状の報告が時間の経過とともに減少したが、これはダウンワードドリフト現象(繰り返しの調査により、ネガティブな症状の報告が自然に減る傾向)の可能性が高い。介入研究の負の側面。この影響を測るためにも、今後の同様の研究における対照群の重要性が示唆された。

質の高い研究が、さらなる探究を呼び、より深い理解につながる。そんな研究の好循環を感じました。

まとめ

以下、今回のまとめになります。

2021年のマレーシアの研究「Effects of a 7-Day Pornography Abstinence Period on Withdrawal-Related Symptoms in Regular Pornography Users: A Randomized Controlled Study」によれば、7週間のポルノ断ちでは、離脱症状に次のような特徴が表われることがわかりました。

① 全体の結果
ポルノ断ちをしてもしなくても、渇望感や感情、離脱症状に大きな違いは見られなかった。

② 特定条件下の結果
ただし、「ポルノを毎日見る&問題のある使い方をしている人」に限っては、断つことで渇望感が強まる傾向が見られた。

ぜひ、皆さんの今後のポル禁に役立ててみてください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

これにて、「世界の論文を一緒に読もう」シリーズはいったん終了となります。

ご意見などございましたら本記事下部の「お問い合わせ」より、お伝えいただけますと幸いです。

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