ポルノ断ちを始めると、多くの人がさまざまな不快な症状を経験します。これらは一般に禁断症状や離脱症状と呼ばれます。
マレーシアの研究論文(2021年)では、一部のポルノ利用者の間では禁断症状の存在が否定されるような結果が出ていますが、
それでも毎日ポルノを見ているような重度のポルノ利用者では禁断症状の発生が高まることが示唆されています(この論文についてのまとめ記事はこちら)。
本記事では、ポルノ断ちによる禁断症状について、主な症状とその原因を説明します。
よくある禁断症状
『インターネットポルノ中毒』によれば、ポルノ断ち後の禁断症状は多くの人に見られる一般的な現象です。代表的な症状には次のようなものがあります。
- いら立ち
- 性欲の減退
- 不安やパニック
- 突然の涙
- 落ち着かなさ
- 無気力
- 頭痛
- 頭の霞
- うつ
- 気分の揺れ
- 孤立したい気分
- 筋肉の緊張
- 不眠
- ポルノを使いたいという激しい渇望
また、次のような症状が出る人もいます。
- 頻尿
- 震え
- 吐き気
- 胸が詰まって息苦しくなる
- 絶望
- 赤面
- 火の前にいるのに悪寒
- 過食
- 食欲喪失
- 淫夢, etc.
こういった症状がときには複数同時に発生するため、ポルノ断ちはたいへん苦しいわけです。個人差はありますが、およそ4週間は続くとされています(関連記事:ポル禁の日数の目安「4週間」と「3か月」+α)。
さらに厄介なのは、再びポルノを視聴すると一時的に症状が軽減する点です。これが、なかなかやめられない大きな原因となっています。
禁断症状が起こるわけ
では、なぜこれほど広範囲の症状が現れるのでしょうか。以下、禁断症状が起こる理由を探っていきます。
ドーパミンの欠乏と禁断症状
『ドーパミン中毒』では、依存症と神経科学の観点から次のように説明されています。ここでの「ドラッグ」という表現には「ポルノ」も含まれます。
条件刺激が与えられると、脳のドーパミン・ニューロンは発火して(中略)、すぐに元のレベルにまで下がるだけでなくそれ以下までさらに下がる。一時的にドーパミンが軽い欠乏状態になることが私たちに報酬を探し求めるように動機づけるのである。ドーパミンレベルが基準値以下に下がることが渇望状態を作るのだ。渇望は、そのドラッグを得るためにはなんでもするというように、強い目的を持った行動に変換される。
『ドーパミン中毒』アンナ・レンブケ、恩蔵絢子[訳] p.84
つまり、なんらかのトリガー(条件刺激)によってドーパミンが一時的に欠乏すると、脳がドーパミンレベルを元に戻そうと報酬(快楽)を求めて、さまざまな禁断症状を引き起こすのです。
ポルノ断ちのトリガーは人によってさまざまですが、たとえば18禁漫画のスマホ広告です。ポルノを彷彿させるようなものはすべてトリガーになりかねません。
そのようなものをちらっと目にするだけで、脳内のドーパミンが欠乏状態になり、「ポルノを見ればこの不快感から解放される」と脳が誤って判断します。その結果、強い渇望や禁断症状が再び現れてしまうのです。
「おい、早くポルノを見ないとこのまま苦しい状態が続くぞ」、と脳が叫んでいるようですね…
ストレス系の異常と禁断症状
一方で、『インターネットポルノ中毒』では、ストレス系の異常が禁断症状を引き起こすと示しています。
(前略)中毒者が脳にネタを与えないと、ストレス系が過剰に働きはじめる。中毒者が報告する多くの禁断症状、たとえば不安、うつ、疲労、不眠、苛立ち、痛み、気分の揺れなどが引き起こされる。ゴミクズのような気分になり、そのために中毒に逆戻りしてしまうことも多い。
『インターネットポルノ中毒』ゲーリー・ウィルソン著、 山形浩生[訳] p. 130
この説明から分かるように、ポルノ断ちをしているときに感じる「うわ、ムラムラする」「ポルノを見て抜きたい」といった強い渇望は、必ずしも本来の自然な性欲から生まれたものとは限りません。
ポルノ依存によって脳のストレス反応系が乱れ、その結果、禁断症状のような形でこうした衝動が生じている可能性があります。この点を疑ってみましょう。
おわりに
本日はポルノ断ち中に表れる禁断症状について取り上げました。
ポルノ断ちをすると、ドーパミンの変化やストレス系の異常によってさまざまな禁断症状が現れることがあります。いら立ちや不安、無気力などの症状は一時的なもので、多くの場合はおよそ4週間ほどで落ち着くとされています。
これらは脳が元のバランスを取り戻そうとする過程で起こる自然な反応です(関連記事:快楽と苦痛のシーソー)。
苦しい時期もありますが、ポル禁戦略を固めてトリガーを避けつつ継続することで、少しずつ心も体も安定していきます。ぜひ、上手にポルノ断ちに取り組んでいただければと思います。
以上です。
何かご質問等ございましたら、本記事下部のお問い合わせからご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考資料
『インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学』ゲーリー・ウィルソン著、 山形浩生[訳]
『ドーパミン中毒』 アンナ・レンブケ、恩蔵絢子[訳]

